食卓から伝える、日本文化のコラム
2019.12.27
御厨/みくり・みくりや
三重県伊勢市、伊勢神宮に鎮座される天照大神にお食事を奉る「日別朝夕大御饌祭/ひごとあさゆうおおみけさい」というご神事は、一日に朝と夕方の二回、約1500年の間欠かすことなく続けられています。
清浄な火をおこし、清らかな水を用いて調えられる神饌(神様のお食事)には、御箸台に乗せられた御箸が添えられ、これが先ず最初に配膳されるそうです。
伊勢神宮では忌火屋殿(いみびやでん)と呼ばれますが、神様のお食事を用意する台所は「御厨/みくり・みくりや」と呼ばれています。Dining & Cafe mikuriの店名は、その名称からいただきました。
遠い遠い昔に伝わった稲を育てる文化は、一粒の育みから萬倍の収穫を得ることによって、私達にっぽん人の暮らしに「安定」と「希望」を与えてくれました。この大きな喜びを忘れることの無いようにと、私達のご先祖はことごとに感謝する節目を残してくださっています。
日々の暮らしの中で田んぼの景色を目にすることのない人も多くなりました。掌の碗に装われた白いご飯へのありがたい気持ちは、豊かな想像力をもって思い巡らさなければ感じ難いものになっているかも知れませんね。
Dining & Cafe mikuriでは、御厨で神様のお食事を調えるように、恵みに感謝しながら調理し、食卓で伝えることのできる日本の文化をお客様と一緒に大切にしていきたいと思っています。
このコラムでは、お食事とは別にココロのご馳走として四季折々の食材や食にまつわる日本の文化を綴らせていただきます。
更新は不定期ですが、ときどき覗いていただけましたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
プロデューサー 水本理恵子